皆さんこんにちは!

 

 さて、私の住む静岡市清水区蒲原地区は盆踊りが大変盛んな地域です。昔は夜明けまで曲が流れていたようです。今はさすがにそれはできませんが、それでも日付が変わる直前までにぎやかに踊る、それが私たち蒲原人のDNAに刻み込まれているようです。

 

 今回はそんな盆踊りをマーケティングという視点で分析してみると、ビジネスにも通じることが学べるというお話です。一見ビジネスとは無縁の盆踊りという行事ですが、今年、私はこの盆踊りからいろいろと学ばせてもらいました!

 

 

盆踊りを事業として定義してみる

 

 さあ、それでは考えていきましょう。ピーター・F・ドラッカーは著書「マネジメント」の中で次のように述べています。

 

 企業の目的・氏名を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。顧客によって事業は定義される。…(中略)…したがって、「われわれの事業は何か」との問いは、企業を外部すなわち顧客と市場の観点から見て、初めて答えることができる。

 

言われてみれば当たり前です。事業は顧客があってはじめて成り立つ。その通りだと思います。

 

では、盆踊りにとっての「顧客」って誰でしょうか?盆踊りはお金儲けを目的としないので、顧客=かかわっている人、と見ることができます(これはもしドラの映画でも出てきましたね)。そうすると、自治会の人、そして会場に来てくれる人、抽選の商品を提供してくれる人、などが当てはまりますね。そして、そいわゆる「お得意様」に当てはまるのは、やはり自治会の人や踊りに来る人になると思います。

 

次に、その人たちが求めるものとは何か、ということですが、わが地元の場合これは比較的わかりやすく、「楽しい時間」「にぎやかさ」だったりするわけですね。そこで、わが地元の盆踊りの顧客を「楽しさやにぎやかさを求めて踊りにくる人」と定義します。ここから盆踊りとは、こうした顧客を満足させるための事業と定義できると思います。

 

 

マーケットインとプロダクトアウト

 

 次にこの2つの視点で見てみます。どちらもマーケティング用語として広く知られています。簡単に言えば、マーケットインは顧客の声を聴いて商品やサービスを開発すること、プロダクトアウトは自社の強みを生かして商品やサービスを開発することです。マーケットインが顧客目線、プロダクトアウトは自社目線といってもいいかもしれません。この2つの考え方、戦略としてどちらがいいのでしょうか?私の経験から、盆踊りにこの考え方を当てはめるのなら、次のようになると思います。

 

 ・マーケットイン…来る人が踊りたいと思う曲をかけること(人気曲を大量にかけるのがこちら)
 ・プロダクトアウト…選曲者がかけたい曲をかけること(新曲導入はこちら)

 

 こうしてみると、マーケットインの考え方の方が一見よさそうに見えますね。プロダクトアウトの考え方を採用すると、何となく選曲者のエゴが出てしまうように思います。事実そうした側面はありますし、顧客の声を無視したプロダクトアウトでは意味がありません。しかし、「ならばマーケットインでいこう」と単純に考えればいいかというと、ことはそう簡単ではありません。

 

 なぜなら、マーケットインの考え方だけを採用すると、「同じ曲ばかりが何度もかかる」「新曲が全く入ってこないからメリハリがない」といった事態が起こってしまうからです。私は今年の曲順選びにあたり、試しにリクエスト制を取り入れましたが、やはり予想通り、リクエストが集中する曲は決まっていました。そうすると、同じ曲が何度も繰り返しかかることとなってしまい、「同じ曲ばかりで面白くない」という意見が出ます。この点からも、「来場者が踊りたい曲」を聞くのはいいことですが、それに頼りきるのは一種の思考停止ともいえると感じました。

 

 ポイントは、マーケットインとプロダクトアウトのバランスだと思います。リクエストは聞きつつも、特定の曲に集中しないようにバランスをとる。そして、今までやっていないけれども、「この曲盛り上がるかも!」と確信できる曲があるならば、多少強引にでも取り入れてみることも重要です。事実、そうやって入れた曲が盛り上がり、次の年から定番になったという事例はたくさんあります。こうしたことは、ビジネスでも同じことのように感じます。

 

 私も今まで選曲活動にかかわらせていただきましたが、改めてそのプロセスを見直すと、このマーケットインとプロダクトアウトの考え方は大事だと気づきました。

 

 

新しいターゲット・顧客は誰?

 

 次に考えるべきことはこれでした。盆踊りの顧客は上にあげた通りですが、人口減少の進む地域においては、それだけでは先細りが目に見えています。新しい顧客を取り入れていくことも考えていかなければ、盆踊りという文化の保存は難しくなります。

 

 では誰をターゲットとするのか?私の地元でいうならば、それは「10代~20代の若者」だと思っています。

 

 ターゲットをこう定義したならば、彼らに会場に来てもらえるための戦略を練る必要があります。そこで、私が考えた戦略は次の通りでした。

 

 ・新しい曲と古い曲のバランスを考えて選曲する。
 ・危険行為、迷惑行為さえしなければ自由に踊って、太鼓をたたいてくれて構わないという雰囲気を作る。
 ・「盆踊りはこうでなければならない」というように決めつけず、多様な考え方を受け入れる。

 

 幸い私のいる自治会ではこうした雰囲気が伝統的にあるようで、多くの若者が町中から集まり、にぎやかにやってくれています。この雰囲気を、今後に残していきたいと思います。

 

 

まとめ

 

 最初にも言いましたが、盆踊りのような文化行事は一見するとビジネス的な考え方とは無関係のように思えます。しかし、これからこうした文化をしっかりと保存していくためには、ビジネスやマーケティングの考え方を積極的に取り入れることも必要だと私は思います。箱根駅伝で、青山学院大学の原晋監督が、選手育成にビジネスの手法を取り入れたのと同じです。その結果がどうであったのかは、皆様がご存知の通りです。

 

 今年の盆踊りは終わってしまいましたが、来年も楽しみです!皆さん、いい夏をお過ごしください!!